ご提案書

子どもAI教室「AIクリエイター体験」(仮称)
単発テスト開催のご提案

— 学習塾の次の一手を、リスクなく試すために —

宛先
有限会社渡辺塾 渡辺社長
提案者
光の株式会社 代表取締役 櫻井 啓太
日付
2026年8月19日

第1章ご提案の要旨

本書は、2026年8月18日の定期ミーティングで議論した子ども向けAI講座構想を、企画として整理・具体化したものです。

  • 現在の学習塾事業に加える第二の商品の候補として、次回の冬期講習期間を活用し、子ども向けAI教室を「単発3日間」でテスト開催します
  • 既存の塾生・保護者への案内だけで集客し、追加投資ほぼゼロで需要を検証します
  • 子どもは毎日1つ、自分の作品(Webアプリ・ゲーム・音楽等)を完成させて持ち帰ります。作品はWeb上に公開し、保護者にリンクでお届けします
  • テスト結果(申込率・満足度・継続希望率)を見て、定期コース化するか、やめるかを判断します。本業には一切影響を与えない設計です

第2章背景① 学習塾市場は構造的な縮小局面に入っています

2025年 出生数(日本人)
67.1万人
10年連続 過去最少
出生率1.14も過去最低(厚労省 人口動態統計)
2025年 学習塾の倒産
46
過去最多を更新
約9割が小規模塾。中小塾の4割が赤字(帝国データバンク)
子ども向けプログラミング教育市場(2030年予測)
1,000億円超
2024年比 約4倍へ
2024年253.8億円・前年比114.5%で6年連続拡大(コエテコ×船井総研)

(1)子どもの数そのものが急減しています

2025年の出生数は67.1万人と10年連続で過去最少を更新しました。今の年長児の世代(2020年生まれ・約84万人)と2025年生まれを比べると、わずか5年で、入学してくる子どもが約2割減ることがすでに確定しています。学習塾が「今いる子どもの取り合い」を続ける限り、市場は必ず縮みます。

(2)淘汰はすでに始まっています

2025年の学習塾の倒産は46件と過去最多を更新しました(帝国データバンク調べ。東京商工リサーチ集計では55件)。倒産の約9割は資本金1,000万円未満の小規模塾で、中小塾の4割は赤字経営とされています。要因は「少子化」「講師確保難」「物価高による家計の教育費の選別」の三重苦と分析されています。

(3)「学力向上」単品では選ばれにくくなっています

家計が教育費の使い道を選別する時代には、従来型の補習・受験指導だけを提供する塾から順に削られていきます。帝国データバンクも「『学力向上』だけでは生き残れない時代」と総括しています。

ここから言えることは一つです。商品が学習指導の1本だけという状態は、それ自体が経営リスクです。塾の経営体力があるうちに、2本目の商品の種を低コストで試しておく価値があります。

第3章背景② 一方で、すぐ隣に伸びている市場があります

(1)子ども向けプログラミング・情報教育市場は急成長中です

2024年の市場規模は253.8億円(前年比114.5%)で6年連続拡大。大学入学共通テストへの「情報」導入を追い風に、2030年には1,000億円超へ成長するとの予測が出ています(コエテコbyGMO×船井総合研究所)。

(2)AI活用は「遊び」ではなく公教育の方針になりました

文部科学省は2024年12月に「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」を公表し、学校教育でのAI活用を前提とした指針を整備しています。「子どもにAIを使わせてよいのか」という段階は終わり、「使いこなせる子とそうでない子の差がつく」段階に入っています。

(3)保護者の関心に対して、供給が空白です

生成AIの普及速度に対して、子どもが「AIを使って何かを作り切る」体験を提供できる教室は、地域にはほぼ存在しません。大手プログラミング教室のカリキュラムも従来型(Scratch等)が中心で、生成AIで実際に動くWebアプリを作らせる教室は空白地帯です。先に旗を立てた教室が「この地域でAI教育といえばここ」の位置を取れます。

第4章提案内容 — 子どもAI教室・単発3日間テスト

項目内容
形式3日間・各2〜3時間の短期教室(次回の冬期講習期間を活用して開催
対象①小学校低学年コース ②小学校高学年〜中学生コース
いずれもパソコンの基本操作ができることが前提。操作が難しい子向けには、前段の「パソコン基礎教室」を別途設置する構想(MTG合意事項)
成果物1日1作品、必ず完成させて持ち帰る(ゲーム・音楽アプリ・診断メーカー・便利ツール等)
公開作品はWebサーバーに公開し、保護者にリンクを送付。家族のスマホでいつでも見られる・遊べる
定員1コース6〜10名程度(テストとして測定可能な最小規模)

カリキュラムの核 —「AIに作らせる」ではなく「AIに正しく頼める子」を育てる

各日、いきなりPCには向かわせません。最初の30分は紙で「さくせんシート」を書く時間です。

  1. さくせんタイム(紙) 何を作るか・誰のためか・できること3つ・画面のスケッチ・完成の条件を、自分の手で決める(=子ども版の要件定義)
  2. AI開発 さくせんシートを読み上げると、そのままAIへの指示になる設計。最小版を動かしてから1機能ずつ追加していく
  3. 発表・振り返り 作戦どおりにできたか、AIへの頼み方で何がうまくいったかを言語化する

設計は本人、実装がAI」。この構造なので、保護者には「AIに作らせただけ」ではなく「うちの子が設計した」ことが、持ち帰るさくせんシートと作品リンクの両方で伝わります。ここが学習塾がやる意味であり、単なるパソコン教室との違いです。

アイデアが浮かばない子のために、年齢別・約50種の例題メニュー(ゲーム・音楽・お絵かき・家族の困りごと解決アプリ等)を準備済みです。8/18のMTGで挙がったアイデア(ゴミ分別判定・カメラじゃんけん・アキネーター風当てっこアプリ・校歌アレンジ作曲・暗号メーカー・冷蔵庫の残り物レシピ等)も例題メニューに統合します。

また、MTGで出た金融リテラシー教育(投資シミュレーション・複利・リスクの体験アプリ)は、中3〜高校生向けの拡張コースとして、テスト成功後の第2弾候補に位置づけます。

学習塾との相乗効果

第5章なぜ渡辺塾でやるのか — すでにある資産の転用

新規事業の最大のコストは集客です。渡辺塾には、それを不要にする資産がすでにあります。

カリキュラム・教材・当日の講師・作品のサーバー公開は、すべて光の株式会社が用意します。渡辺塾側の追加作業は、会場の提供と保護者への案内のみを想定しています(告知文もこちらで用意します)。

第6章これは「テスト」です — 測るものと判断基準

単発開催の目的は収益ではなく、定期コース化の判断材料を最小コストで取ることです。以下を測定します。

指標見るもの
申込率案内数に対する申込数。定員到達までの日数
価格受容有料でどれだけ集まるか(下記参照)
満足度子ども・保護者アンケート
継続希望率「定期コースがあれば通わせたいか」— 最重要指標
波及非塾生・兄弟からの申込数(新規流入口になるかの検証)

事前の需要調査(MTG決定事項)として、夏秋講習終了後の保護者アンケートにAI講座への関心・ニーズの設問を追加し、子どもたちにも「AIで作ってみたいもの」をヒアリングします。開催前から測定を始め、結果を定員・価格設定と例題メニューの重み付けに反映します。

判断基準は事前に決めておきます。例えば「定員が埋まり、継続希望が過半数」なら定期コース化を検討。届かなければ、内容・価格・対象を変えて再テストするか、撤退します。1回で結論を出さず、安く・早く・きちんと測ることを優先します。

価格について — 無料開催はお勧めしません

無料にすると「タダなら行く」層しか測れず、定期コース化の判断材料になりません。また無料で始めた講座は保護者の中で価値が確定してしまい、後から有料にできなくなります。テストの段階から適正価格で募集することをご提案します。参考として、民間の子ども向けプログラミング短期講座は1日5,000〜10,000円、3日間キャンプで2〜5万円が相場です(金額は協議の上で決定)。

第7章想定されるご懸念と対応

ご懸念対応
子どもにAIを使わせて大丈夫か文科省ガイドラインに沿い、利用するAIサービスの年齢条件・設定を遵守します。本企画の核はむしろ「AI任せ」の逆で、考える工程(さくせんシート)を紙で行わせる設計です
機材は?塾所有のFireタブレット5〜6台(MTG確認済み)を活用し、不足分・開発用PCは光の株式会社が持ち込みます。タブレットでどこまで開発体験ができるかは、10月のカリキュラム最終化までに実機検証します
AIの利用料は?無料版はトークン制限で1日持たないため、有料プラン前提で原価に織り込みます(MTG確認事項)。利用サービスは子どもの年齢条件・安全性・コストを比較して選定します
講師は?初回テストは櫻井が主担当として立ち、カリキュラム・教材一式を光の株式会社が提供します。並行して10〜11月にバイト講師への研修を行い、定期化時に内製で回せる体制を作ります(ご子息が講師を担う可能性も含め、テスト後に体制を設計)
本業への影響は?冬期講習の時間割と重ならないコマで実施する単発企画です。講習の運営には手を触れません。うまくいかなければ何も残りませんが、失うものもありません

第8章期待できる効果

うまくいけば第二の柱の種になり、うまくいかなくても失うものはほぼありません。「やるかやらないか」ではなく「安く試して数字で決める」のがこの提案です。

第9章次のステップとスケジュール(冬期講習期間での開催を前提)

  1. 8〜9月 講習後の保護者アンケートにAI講座設問を追加・子どもヒアリング実施(需要調査)
  2. 9月 調査結果を踏まえ、対象・定員・価格・実施コマ(冬期講習の時間割との調整)を決定
  3. 10月 カリキュラム最終化・Fireタブレット実機検証・バイト講師研修開始
  4. 11月 講師研修継続。冬期講習の案内に同乗して告知開始・申込受付
  5. 12月下旬〜1月上旬(冬期講習期間) 開催
  6. 1月 検証結果のご報告 → 定期化のご判断(春開催・新年度からの定期コース設置も視野)

次回の定例ミーティング(9月18日)にて、対象・定員・価格の決定から進めさせていただきます。